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関西学院大学サッカー部強さの秘密



TEAM DATA

創部 1918年
優勝経歴 総理大臣杯全日本サッカートーナメント 優勝1回 / 全日本大学サッカー選手権 優勝1回
部員数 約140人
監督 成山 一郎
コンセプト  前へプレーする
目的 大学サッカーの正当性を証明する
今年の目標  関西制覇→日本一/Jリーグチーム撃破
主なOB 2009年卒 ガンバ大阪所属 阿部浩之
2015年卒 ヴィッセル神戸所属 小林成豪
2015年卒 ガンバ大阪所属 呉屋大翔

組織構成と役割

総部員数が100人を超える規模のサッカー部だけに組織統制が難しい。その点を関学サッカー部では6つのカテゴリーに分け各部員の役割分担を配置することでカバーしている。
まず「ピッチ内」と「ピッチ外」という2つに区分される。それを「個人」、「チーム」、「サポーター」という軸でさらに細分化している。そうして出来た役割が、「ピッチ内」ではメディカル、スカウティング、プロジェクト、「ピッチ外」ではアクティビティ、ファミリー、プロモーションとなっている。
各部員がそれぞれにチーム貢献の場を提供されることで、試合に出られる選手、出られない選手のモチベーションをマネジメントする狙いがある。また、役割を集中的に行うことで専門性の向上を図っている。結果的に学生主体のチーム作りが実現し、チームに一体感を生み出している。
さらに、多くの部員と接触して驚いたのが、誇りを持って自身の役割を全うしているように見受けられたことである。そこに至るにはチームとしての考え方の浸透や、次に紹介する人間力向上などの取り組みが欠かせない。

 

取り組み

関学サッカー部は“人間力を磨き、大学サッカーを代表する集団・人間になる”という目的のもと様々な活動に取り組んでいる。
サッカースクールや清掃活動などは大学スポーツの社会活動として一般的になっているが、スポーツやサッカーと全く切り離した視点で行われている木鶏会や講演会などを定期的に行っているチームは他にあまり無く、大変興味深い。

木鶏会とは、「知致」という人間学の雑誌を読んだ感想文を部員で共有したり、サッカー部に関するテーマについて話し合うことで人間力の向上とコミュニケーションを深める会である。「知致」の購読層の50%超が会社役員という雑誌だけに、学生の取り組みとして一風変わったものと言える。サッカースクールや清掃活動は社会貢献ではあるが、自発的な視点がなければ本来の人間成長に至らない。その視点の転換や自立への意識付けに、このような会が役立っていると言える。

 

監督の考え

練習後に成山監督にお時間を頂き2つの質問をぶつけてみた。
Q.“強いチームづくりのために心がけていることはありますか?”
A. 部員の人数が増えているので、監督やコーチというよりも4回生がいかにリーダシップを発揮してチームをまとめていけるかが重要な事だと考えております。ですので、4回生が主体性を発揮して自分で動けるような環境を作っていく事が大事なのかなと思っております。
Q.“昨年の日本一になったチームに違いはありましたか?”
A.「試合に勝っていくと雰囲気は自然と良くなっていくものですが、むしろ負けている時とか上手くいっていない時に逃げ出さないで、ちゃんと向き合おうとしているのかという部分が強いチームや結果を出すチームに繋がっているのではないかと思います。その点では、去年のチームは、一昨年の全国大会決勝戦で何もできずに負けたっていう悔しさが分岐点になっていると
思います。その時の4年生が悔しい思いをしたので、今年はもっともっと頑張らないといけないとなって、具体的に良くなりそうなところを、一つ一つ向き合っていった事が結果に繋がっていったと思っております。」
短い質疑応答であるが、監督からは技術面や戦術面の言葉は一切でてこなかったのが印象的であった。4回生に自分たちでチームをまとめるという権限や責任感を与えるというのは決して容易なことではない。しかしそうすることで、部員やプレイヤーとしての成長を促していく考えが見受けられた。またこういった姿勢は、戦力や部員数などの変動もある中、その年その年のチームを大切にしているようにも思えた。
 

スタッフに聞く!
チームの為に自分ができること

主務 安達大輝

去年のチームは日本一になったのですが、今年はまた一からのチームだと思っています。自分たちでチームを作っていかなければならない。去年のチームの引継ぎではなくて、自分たちで自ら日本一になる為には何が必要なのか?と考えてくことがすごく重要な事だと思っています。チームの運営面を統括し、選手がサッカーに真摯に取り組める環境を整えていくこと。それが大学サッカーにおける主務の役割ではないでしょうか。しかし、関学サッカー部の主務は一味違います。「日本一」という最大の目標に対して、進むべき道に指針を与えることこそ主務の役目です。そのために私は誰よりも「日本一になるには」という視点で行動しなければなりません。
主務としての一年間の半分以上が過ぎ、その間に勝負の厳しさを知りました。普段の事務作業にも部員ともミーティングにも練習の準備にも、その全てに覚悟を持って行動します。選手を支えるだけでなく、共に闘う主務になる。それが私の主務としてのモットーです。
 

コンダクター 井上敬介

私は大学3年になる直前にプレーヤーをやめ、コンダクターという名の学生コーチとして関学サッカー部に関わることを決めました。子供の頃から続けてきたサッカーをやめることに対しては抵抗がありましたが、この関学サッカー部のためにという思いと人間的な幅を広げたいという思いで決断しました。私は今、C2チームのコンダクターとして活動しています。主に練習メニューを考え、チームの強化をしています。しかし、C2チームはリーグ戦や定期的な試合はありません。毎週ある練習試合や月に1度ある他のカテゴリーと試合をするダービーに向けて日々トレーニングしなければいけません。しかし、C2チームとしてやるべきことはチームの底上げ、すなわちC1チームに1人でも多く選手を送り込むことです。この考え方の軸は必ずぶらしません。選手個々のスキルアップ、精神的な強さをつけること、これらをテーマに日々指導しています。
学生同士ということで難しい面もありますが、学生同士ならではの良さもあります。選手側からたくさん話をされたり、同じ目線になって選手と関わることができます。
今の私にしかできないことがたくさんある中で、とても良い経験をできていると思っています。この現状に満足せず、新たな可能性を信じて残りの学生生活過ごしていきたいです。
 
<目的と目標の違いをしっかり理解>

関学サッカー部さんのHPやイヤーブックなどにたくさんでてくる言葉、目的と目標。ご購読いただいている、学生の皆さんは、目的と目標の違い。把握できていますか?簡単に「水泳の話」で解説させていただきますと、ある中年太りのおじさんが、「よ~し、健康になるぞ~~!!」と言って、「健康になるために、水泳やろう!」と決めたとします。そのおじさんは、やる気に溢れ「週2回泳ぎに行く!!」という目標を立てます。目的は「健康になること」、目標は「週2回、水泳に行く」という話ですね。おじさんは水泳を頑張って続けて、だんだん習慣になってきて、健康な体になってきました。うまく行ってきたわけです。ところがある日、風邪をひいてしまいます。おじさんは、「うわ~、今日水泳の日やぁ~」って思います。「今日行かなかったら週2回の目標達成にならない!」「どうしよう!!?」さぁ、この水泳、行くべきか?行かないべきか?アナタはどうしますか?・・・というお話です。行かなかったら週2回は達成できませんが、風邪をひいているのに水泳に行ったら風邪こじらせて体に悪いですよね。このおじさんの目的は「健康になること」なんだから、この場合は「行かない」という決断をとらなければいけないんです。時々分からなくなってしまうことってありますよね。目的を見失うと、頑張ったことも本末転倒になりますよね。ここでお伝えしたいのは、目的を大切にしなさいということです。目的>目標ということです。身近な事例でいくと分かりやすく感じますが、日常の部活の中で、こういうことって、多くないですか?みなさんが大学でスポーツを続ける目的は何ですか?目的に向かった判断・・・できていますか??そういう意味を込めて、関学サッカー部のイヤーブックでは個人の目的←個人の目標←日々の行動と明確に書かれており、目的と目標の使い分けが浸透しているんだと感心しました。

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